「来るもの拒まず、去るもの追わず」
水が高いとこから低いところに流れるように、障害物があったら素直に避けて、出口がなかったらその場に留まって。
自然に逆らわない生き方こそ幸せな人生かもしれません。
今年の春、同僚が一人、職場を去りました。
17年間一緒でした。
いいヤツでした。
でも彼が退職したのを知ったのは既に退職した後でした。
辞める理由は誰にも語らなかったそうです。
しかし全職員が彼が退職理由はだいたい分かっていたと思います。
-彼が退職した事は間違っていない-
私はそう信じています。
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【人間関係に疲れた?】コミュニケーションがとれない
SNSやネットの情報を見ているとコミュニケーションが苦手な方って結構いますよね。
・話の輪に入っていけない
・何を話していいか分からない
・空気みたいな存在
等…ですかね。
私はコミュニケーション大好きな人間なので、その感覚が分かりません。
おそらく幸せな能力ですので自分に感謝しています。
さて、今回話題のA君。
コミュ力”ゼロ”でした。
いわゆる「コミュ障」ってやつでしょうか。
話しかけても「はい」「分かりません。」のいずれか。
自分の考えを話す事はありません。
コミュニケーション大好きな私は、趣味や恋愛の話も聞いてみたことがあります。
パソコンが大好きで、長年交際している彼女もいる事も話してくれました。
しかしA君から私に話しかけてくることは一度もありませんでした。
酒も弱くて、飲み会の席でさえ口数が増える事もありませんでした。
挨拶だけは、はきはきしてましたが…。
それでもA君と話していると、何となく楽しそうにしているように見えたので、A君を見かけると必ず話しかけていました。

【人間関係に疲れた?】仕事が出来ない…訳ではない?
A君は少し特殊な業務をしていました。
私はその業務を頼むだけで直接一緒に仕事をしていた訳ではありません。
しかし私はいつもA君を選んで仕事をお願いしていました。
理由は、仕事が早くて正確だったから。
仕事の期限は必ず守るし、間違えた事は一度もありませんでした。
几帳面な性格だったと思います。
ただ一つだけ欠点がありました。
それは「言われた事以外はやらない」という点です。
正確に言うと、「やらない」のではなく、「出来ない」の方が近かったのかもしれません。
人間関係に慣れてくれば、言わなくてもやっておくのが常識的なところがあると思います。
しかしA君は、毎回、同じ事を説明しないと「やらない」のです。
同僚の間では「気が利かない」「冷たい」等と噂されていたのは私も納得ているところではありました。
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【人間関係に疲れた?】ついに現れたパワハラ上司!
コミュ障で気が利かないA君。
口下手で失敗した理由や事情の説明も下手…。
とりあえず「すみません」と言ういう言葉が先行して、その後は黙り込んで説明する事ができませんでした。
そのA君の前に、今ままでにない超大型パワハラ上司が出現します。
普通の人でさえたどたどしくなるパワハラ上司。
17年間頑張ってきたA君がわずか1年で撃沈する事になります。
重箱の隅をつつくようなパワハラ上司。
確かにA君のミスではあります。
しかし小さなミスです。
今までは同僚がカバーしたり口に出さない等してA君を支えていました。
しかしパワハラ上司は手加減しません。
とにかくミスの理由の説明を求めます。
口下手のA君は全く説明する事ができず、立ち尽くしたままです…
コミュ力もないA君ですので、パワハラ上司の機嫌を取る事など不可能でした。
誰もA君が叱責されている様子を見て助ける事はしません。
自分に火の粉が舞ってくるような事はしないのです。

【人間関係に疲れた?】A君を助けなかった同僚はダメだったのか
A君のパワハラ被害は相当なものだったと思います。
実際、私もそのパワハラ上司からは被害を受けていた時期がありますのでよく分かります。
しかし私はそのパワハラ上司に耐え抜きました。
その時を振り返れば、同僚が同情して支えてくれていたのを覚えています。
しかしA君を支える同僚はいませんでした。
-なぜか-
理由はコミュ力がなかったから。
おそらく、つらそうなA君を見て声をかけた同僚は私以外にもいたと思います。
しかしA君は自分の気持ちを言葉で表現することが一度もありませんでした。
「大丈夫か?」っと聞いてもうなずくだけ…。
なにも自分の口から発しないのです。
A君の性格から自分の気持ちを他人に打ち明けるのは無理だったでしょう。
だからといって、同僚が悪い訳ではないと思うのです。
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【人間関係に疲れた?】A君は弱者なのか?
-弱肉強食はいつの時代でも変わらない-
この言葉は私の中で確信している私の「哲学」です。
-弱いものは強いものに食われる-
この世に生を受けた時から、その命は強い者から常に狙われています。
人間を含めた動物に限らず、植物や全生命の世界に通じる共通の真実だと思います。
A君は退職という人生の選択をしてパワハラ上司から逃げました。
17年間も勤め上げた職場。
立派だと思います。
しかしA君には超えられない壁があった。
だから退職した。
でも私は思うんです。
A君は生きのびた。
先日、退職後のA君と偶然にも街中で会いました。
17年間、職場以外で会う事など一度もなかったのに…
「僕にはやりたい事があるんです。」
少し笑ってそう話してくれました。
楽しそうに見えました。
彼は弱者ではない。
退職という手段で生き延びた。
自分を変えず。
ありがとう。
君の仕事が好きでした。
またいつか…
君と一緒に仕事をしたいよ。
その日まで…。
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